妊活という名の繁殖
🕑 Added 2025-06-27 07:23:59 +0000 UTC
「パパナル」などというそのアプリを嫁から勧められたときは、正直面倒くさいと思った。
政府主導の妊活推進アプリ「パパナル」。父親になりたい男たちの交流の場となったSNSだ。
利用者は男だけということもあってか、「妊娠させやすい体位」だとか「精子を活発にするオナニー頻度」だとか、生々しい話題も忌憚なく話し合われていて、だんだんおれも興味を持っていった。まあ子供は欲しいとは思うけれど、それ以上になにかそのアプリの雰囲気が、学生時代の猥談みたいなノリをしていたのにハマっていったのだった。
そして今日、アプリでとくに親しくなった人たちとオフ会をすることになっていた。
いまは待ち合わせ場所の駅にいるところだ。
「リュウジさんですか?」
短い髪に顎髭を生やしてスーツを着た男性に声をかけられた。
「そうです」
「やっぱり! ジムに通ってるって言ってるだけあってすげえイイ体してますね! すぐわかりましたよ。おれ、トモヤです。今日はよろしくお願いします」
身長180くらいで、雄っぽい顔をしたイカついトモヤさんも、ニカッと笑うとなんだか可愛く見えた。
「こちらこそよろしくお願いします」なんて答えながら、おれたちは雑談をしてあとの2人を待った。
「失礼ですが」
それからすぐに、眼鏡をかけて髪を七三にわけてビシッと固めた真面目そうなスーツリーマン風の男から声をかけられた。「パパナルの方たちですか?」
「そうです、そうです。ユウイチさんですか? おれ、リュウジです」
「ああ、よかった。ユウイチです。そちらはもしかしてトモヤさんですか?」
「そうです。今日はよろしくお願いします」
ユウイチさんはどこかエリートっぽい匂いがした。真面目で堅物そうなユウイチさんは、アプリでもつねにどこか硬さが抜けず、妊娠しやすい体位から話が盛り上がって脱線して自分が好きな体位の話になったときも、「わたしは正常位以外はよく知らないので」と答えていたのを覚えている。
「すいません。遅れましたか?」
ユウイチさんのとはすこし違う、黒縁のおしゃれな眼鏡をかけて坊主頭にハットをかぶった男の人が、息を切らしながらおれたちのまえに飛びこんできた。
「ハヤトさんですか?」
おれはおしゃれ坊主の男性にたずねた。
「そうです。もう皆さん揃ってたんですね。すみません、お客さんが…仕事が長引いてしまって」
ハヤトさんが美容師だということはすでに聞いていた。スーツを着たおれたちのなかで唯一私服姿だが、それもとてもカッコよくて似合っている。
「全員そろいましたし、そろそろ行きますか」
俺の号令に全員がうなずいて、おれたちは予約してあった居酒屋に向かって歩き出した。
「ぶっちゃけもうたまに面倒になるときもあるんすよね」
ハヤトさんが酒で赤らんだ顔で恥じらいもなく言った。
わかるわぁ、とおれたちも皆それに同意した。そんな話にも気安くあいづちをうてるくらいまでにおれたちはもう酔っていた。
「妻がなんだか必死すぎて見えて、こっちが苦しくなったりもするんですよね」
ユウイチさんの言葉にも、おれたちは全員同意の意を示した。
「ユウイチさん、あれですよね?」
トモヤさんがきいた。
「あんまりセックスの話とか、なんつーかいわゆるシモの話はパパナルでものってこなかったですよね」
「あまりそういう経験がなくて、どう答えていいかわからなかったんです」
ユウイチさんのピシッと分けられていた髪は、汗で湿ったためかすこし前髪が垂れてきていた。
「エロ話の経験ですか?」
おれがたずねると「いや、というか」と恥ずかしそうにユウイチさんは口を開いた。
「妻以外の女性と経験がないもので」
えぇーっ! とおれたちは思わず驚きの声をあげてしまったが、騒がしいチェーンの居酒屋ではそんな声はなんの問題にもならなかった。
「童貞捨てたのっていつっすか?」
ハヤトさんがたずねた。
「見合いでいまの妻と結婚した27のときです」
「すげえ、魔法使い直前じゃないっすか」
「恥ずかしいですが、はい」
そう言って緊張をほぐすかのようにユウイチさんは手にしたビールをがぶりと飲み、反対におれたちの方へと声をひそめながたきいてきた。
「ふつうは皆さんいくつくらいで卒業するものなんですか…?」
「おれは18だったかな。高校3年のときに」
ハヤトさんが答えた。
「おれは17でした。部活の合宿で」
トモヤさんも答えた。
全員の目がおれへと向けられた。
「おれは」おれはなんだかすこし恥ずかしいようで言い淀んだが、ここでなにかを隠すようなこともないと思っておもいきって告白した。
「中2でした。14のときに、先輩のお姉さんと」
うっわぁー! やばい、やばい!
場は一気にわきたった。
「14歳で、あの、なんていうか、ちゃんとできたんですか?」
ユウイチさんは恐る恐るといった具合で、でも目をどこかギラギラと光らせながら食いついてきた。
「まあ、初体験ですからね。三擦り半ももたなかったですけども…でもほら、あのくらいの時って復活も早いし、何連続でもできるじゃないですか? だからそのまま3発くらい」
ハヤトさんとトモヤさんがゲラゲラと笑った。
「すごい…」
ユウイチさんだけが、なんだか尊敬のような目でおれを見ていた。
「ぶっちゃけ、自分でやったらあの年代のときっていくらでもできませんでした?」
「たしかにいけた」
トモヤさんがうなずいた。
「連続記録とかやってたな」
ハヤトさんも笑った。「最高で1日に何発ヌきました? おれ5回くらいかな」
「おれも5、6回」
正確な数など覚えていなかったが、だいたいそれくらいだった気がする数をおれは答えた。
「おれは10回いったことありますよ」
トモヤさんが指を輪にして空中でちんぽを扱く仕草をしながら答えた。
おれたちはユウイチさんを見た。
「ユウイチさんは?」
ハヤトさんがユウイチさんをのぞきこむようにしてたずねると、ユウイチさんは酒のせいだけではなく顔を赤らめて小声でボソボソとなにか言った。
「え? なに?」
トモヤさんが悪ノリする。
「聞こえないよユウイチさん。もっと大きい声で!」
「…じつは、オナニーも高校を卒業するまでしたことがなかったんです」
「嘘だろ!?」
「マジで!?」
おれたちはユウイチさん驚愕の声をあげた。
「受験にさしさわりがあると困ると思って…大学合格がわかってからはじめてネットでやり方を調べてやってみたんです。でもなんだかよくわかりませんでした。いまでもあまり自分ではしません」
「そっかあ。でもあんまり慣れてないとそうなっちゃうのかもですね」
ハヤトさんが慰めるみたいにユウイチさんの肩を叩いた。
「真面目な話すると、それってあんま良くないんじゃないですか?」
おれはすこし声をひそめた。
「精子って、新鮮な方が妊娠にもいいって言うじゃないですか。自分でも出してなくて、嫁とやるだけだったら、そんな数にならないでしょ?」
「そうですね…月に数回だと思います」
「ええっ! それはちょっと少ないんじゃないっすかね」
ハヤトさんが驚いている。
「でも、いまいち自分でやるやり方もわからないんですよ。動画とかの通りにするんですけど、気持ちいいって感じがしなくて」
「マジか。それもきついっすね」
ハヤトさんはもう笑っていなかった。ユウイチさんを純粋に心配しているみたいだった。
「あの」
そこでそれまで黙って聞いていたトモヤさんが口を開いた。
「よかったら、このあとうちに来ませんか? じつは今日、嫁は実家に帰ってて誰もいないんですよ。まだ時間も早いし、そんな遅くにもならないと思うんで」
「トモヤさんの家ですか?」
おれは不思議に思ってたずねた。なんでいまここでそんな話になるのかわからなかった。
「じつはうちにちょっと秘密兵器がありまして…それを使ったらユウイチさんの悩みも解決できるんじゃないかなと思いまして」
「いや、べつにそんな深刻に悩んでるわけでもないんです」
ユウイチさんが慌てたように手を振った。
「ユウイチさんだけじゃなくてね、ここにいる全員の悩みが解決できるかもしれないんですよ」
「全員の悩み…?」
ハヤトさんが不思議そうに首をかしげる。
「つまりね」トモヤさんが顔をぐいと突き出して声を落とした。おれたちは必然的に密談のように互いの顔を近づけて向かい合った。
「妊娠とか、セックスとか、オナニーもですけど。全部が解決する秘蔵のアイテムを、じつはおれ持ってるんです」
おれたちはごくりと唾を飲んだ。
トモヤさんの言葉がなんだかすごくエロくて、同時に危険な響きをしていたからだと思う。
トモヤさんの家は歩いて15分もかからないマンションの一室だった。
「おじゃまします」
そう言って部屋にあがると、ダブルベッドのある寝室へと通された。
「女房のやつ、しばらく帰って来ないんで、遠慮しないでください」
トモヤさんはそう言って着替えはじめた。
「なんか不思議だね」
ハヤトさんがおれとユウイチさんに囁いた。
「しばらく帰ってこない、とは?」
ユウイチさんが代表してトモヤさんにたずねた。
「ああ、じつは女房のやつ妊娠がわかったんです。それで里帰り出産することになって、いまこっちにいないんですよ」
「え!」
おれたちは驚いた。
「隠しててすみません。でも皆さんとはぜひ一度会ってみたくて、今日会えたら伝えようと思ってたんですけど」
「それは、おめでとうございます、だね」
ハヤトさんがそう言っておれたちの方を見た。おれとユウイチさんもうんうんとうなずきながらトモヤさんを祝福した。
「言ってくれてもよかったのに」
おれはそう言った。
「トモヤさんがパパになるってわかってても、オフ会には呼びましたよ。せっかくあそこで知り合えた仲間じゃないですか」
「仲間ですか。ありがとうございます」
トモヤさんははにかむように笑った。
「でもこれから本当の仲間になれるんですよ。末長くよろしくお願いしますね」
「え?」
その言葉を聞いた瞬間、おれは意識を失った。
遠くから喘ぎ声がする。AVみたいな、でもそれにしてはやけに野太いというか、低い声だ。
おれはゆっくりと目を覚ます。気がつけばトモヤさんの家のダブルベッドのうえに寝かされていた。なんだか肌寒いと思ったら、服を着ていない。全裸だ。
「ほらほら、あんまり声出したらバレちゃうよ?」
トモヤさんの声がして、それからパシリと平手打ちのような音がした。おれは薄目をあけて声のした方を盗み見ると、全裸のトモヤさんと、緑色の触手のようなものに四つん這いの姿勢で全身を絡め取られたユウイチさんがいた。
「んんっ…んーっ!!」
ユウイチさんの口にもフェラチオのように触手が押し込まれていた。ユウイチさんは涙を流していた。
「そんなこと言って、もう気持ちよくなってるくせに」
トモヤさんがユウイチさんの股間を指でパチンとはじいた。年齢のわりにおさない薄桃色をした亀頭が、パンパンに膨れ上がってゆらゆらと揺れていた。あんなひどい状態にされておきながら勃起しているのだ。
「んんんーっ! んんーっ!」
ユウイチさんが情けなくヘコヘコと腰を振ると、少年のもののような小ぶりなちんぽがそれに合わせてますます揺れた。その光景はそのへんのエロ動画よりもなぜかものすごくおれにはエロく見えた。
「おい、お友達が目を覚ましたみたいだぜ」
トモヤさんがそう言っておれの目を見てニヤリと笑った。なぜおれが起きたことに気づいたのだろうか。
「リュウジさんもビンビンじゃねえか」
そう言われておれははじめて自分も勃起していることに気づいた。
緑色の触手が、おれのちんぽに巻き付いた。それはヌルヌルしていて、ローションで責められているような感覚だった。おれはびくんっと腰を跳ねあげた。
「次がつっかえてるからな。ユウイチさんにはもう種付してやるよ。すぐに生まれ変わるからな」
そう言ってトモヤさんが容赦ないピストン運動をはじめた。尻がうちつけられるパンパンという肉の音が部屋に響いた。それに合わせてユウイチさんの「んんーっ!!」という呻きとも喘ぎともとれる苦しげな声はボリュームを上げていった。
「おらいくぞっ! 種注ぎ込んでおまえも仲間にしてやる!」
トモヤさんの動きが止まった。「んんーーーっっっ!!」とユウイチさんが全身を弓なりにのけぞらせて絶叫した。それと同時に、おれのちんぽを絡めていた触手もビクンビクンとうごめき、おれは新たに加えられた刺激に身をよじらせた。
ユウイチさんはぐったりとしている。桃色の亀頭は白く輝く精液にまみれていた。いつのまにか射精していたらしい。
ふいに、ユウイチさんがむくりと起き上がった。トモヤさんが尻穴からちんぽをズルリと抜き出した。それは真っ黒な色をしていて、グロテスクなくろいにゴツゴツとして、種汁に塗れてヌラヌラと光っていた。
「あっ」
ユウイチさんが腹に手を当てて呻いた。まるで妊娠してるみたいな仕草だった。
「ちゃんと孕ませてやったからな。生まれるぞ」
トモヤさんが笑った。
何が生まれるのだろうか。おれは触手に責め立てられるちんぽの快楽に沈みかけながらも、目の前の非現実的な光景から目を離せなかった。
「あああああーっっっっ!!!」
ユウイチさんが絶叫した。それと同時に、ユウイチさんの尻穴から無数の緑色の触手が飛び出してきた。
「え!?」
おれが思わず声をあげると、トモヤさんが全裸のまま肩を組んできた。
「あれはな、雄の体に寄生する生命体なんだよ。おれも種付されて最初にあれが生まれたときは気持ち良すぎてぶっ壊れるかと思ったよ」
ユウイチさんは白眼をむいて全身をビクンビクンとふるわせている。ちんぽからは黒い粒々の混じった精液がダクダクと撒き散らされ、射精のたびにちんぽが太く逞しく成長していくのが目に見えてわかる。金玉も黒く変色していき、肥大化してぶらぶらとぶら下がっている。
「こいつらは生殖能力が抜群に強くってさ。女の体に射精すれば1発で妊娠させれるわけ。それでうちもガキができたんだよ。人間の雄を一匹でも増やして、世界を征服しなくちゃいけないから、繁殖は必要不可欠なんだよな」
ユウイチさんが垂れ下がっていた前髪をかきあげてオールバックにしながら「ふーっ」と息をついた。
その姿は、真面目で堅物なだけのユウイチさんとはどこかが違って見えた。色気みたいなものが出ている感じで、エロかった。
ピンク色だった子供みたいなちんぽも、いつのまにかトモヤさんのものに引けを取らない黒くてゴツいものへと変わっており、そそり立った先端からとめどなく精液を垂れ流していた。
「さて、じゃあつぎはリュウジさんの番だぜ」
そう言いながらトモヤさんはおれをはがいじめにした。
「リュウジさん」
ユウイチさんがおれの方へと歩いてきた。「おれのムスコを孕んでもらえますね?」
そう言って笑うユウイチさんが、おれはたまらなくかっこよく見えて、思わずコクンと頷いていた。