屋敷視点のクリスマスイブの話(5000文字)
🕑 Added 2021-11-02 11:18:45 +0000 UTC
終業式の翌々日はクリスマスイブだ。
しかし恋人同士とは言え、進学校の高校二年生である昴たちにはあまり関係のないことだった。
「昴くん……」
自室のテーブルの向かい側に座った聡司が遠慮がちに声をかけてくる。聡司とは昴の通う予備校の冬季講習が終わったあと待ち合わせをし、昴の部屋で夜まで勉強することを約束させていた。
「何だよ?」
「あの、やっぱり僕、……教えて貰うのは……」
言いにくそうな口調でモゴモゴと話す、その先は分かっている。
「気にすんなって言ってんじゃん」
「で、でも、そんなわけには、あの……」
親に強く言われ、昴が冬休みのみ通うことになった予備校の冬季講習は、日曜日と年末年始を除いて毎日ある。朝から夕方までコマが詰まっているため、必然的に聡司と会う時間は限られていた。毎日でも恋人に会いたい昴は講習の終わる時間に駅前へと聡司を呼び出し、一緒に帰るという約束を強引に取り付けていた。昴の自室で共に過ごす口実として、予備校へ通う経済的余裕のない聡司に、その日習った内容を教えてやるという形をとっている。昴にとっては復習にもなるので効率が良いのだ、と親には説明した。勿論、勉強だけで済ませているわけはないのだが。
テーブルに広げたノートの上でシャープペンシルを何度も握りなおす聡司の手を指先でそっと撫でる。
「それくらい彼氏に甘えろよ」
「あ、あの、でも……」
「お前も俺に会いたいだろ?」
いつまでも続きそうな聡司の言葉を遮り、昴は強い口調で聞いてやる。すると聡司の肩がビクリと震え、モゴモゴと言葉を続けようとしていた唇はぴたりと閉じた。そして彼は頷く。それを見て昴は微笑んだ。
「今日はここまでにするか?」
聞いてやると聡司は上目遣いに昴を見上げる。優しげな声音と表情から判断したのか、聡司はノートへ視線を落として言った。
「えっと、も、もう少し勉強……」
「もういいだろ」
昴は机を横へ押しやり、聡司の体を無理矢理ベッドの側面へと押し付ける。
「あっ」
抵抗を許さず、昴は聡司の唇を吸った。吸いながらセーターを捲り、律儀にパンツへときっちりとしまわれたシャツを引き出す。わざと無遠慮に中へ手を突っ込むと、聡司の体が固く強ばり、そして諦めたように緩むのが分かった。手や腕を拘束したわけでもないのに抵抗もせず、上向いてキスを受け入れている。指先で小さな乳首をつつくと鼻にかかった甘い声をあげた。
かわいい。こんなに何度抱いても飽きない恋人は初めてだった。
昴は夢中で聡司の唇を貪り、片手で胸を、反対の手で下腹をまさぐった。ヒクヒクと震え、嫌がりながらも反応する恋人の体に、昴はますます興奮する。
「ん、んっ」
唇を離すと、赤くなった顔で聡司がこちらを見つめていた。目には涙が溜まり、唇は赤く、半開きになって息を乱している。
「……誘ってんのかよ」
「ち、ちが……」
「誘ってんだろ?」
否定の言葉を打ち消すように、もう一度聞いてやると、聡司は口を閉じてコクリと頷いた。その拍子に涙がポタリと落ちる。昴は目の縁に溢れた涙を舐め、触れたままだった乳首を軽くひねった。
「あっ」
そうすると聡司は声を上げて体を跳ねさせる。昴は聡司のパンツのボタンを外し、ジッパーを下げて脱がした。下着の前は少し膨らみ、小さな染みができている。それを見てニヤリと唇を笑みの形に歪めた昴は、聡司の耳元に唇を寄せ、耳朶を舌でネットリとねぶってから囁いた。
「もう濡れてんじゃん。俺にヤラレたくてたまんねぇって感じ?」
「……っ。……う、うん……」
従順に肯定の返事をする聡司の体を昴は抱きしめ、ベッドの上へと引きずり上げる。
唇を合わせながらシャツのボタンを外し、前をはだけ、アンダーシャツを上へ捲り上げると、慎ましやかな乳首を吸った。吸い上げたそれを甘噛みし、反対側のそれは指先で優しく弾いてやる。そうした愛撫をしばらく続けてやると、誤魔化しのできないほど聡司の下着の中のモノが勃ち上がっていた。
体を起こし、両手を胸から腹へ、そして腰まで滑らせる。下着に指をかけてゆっくり下げると、プルンと小振りな性器が顔を出した。
「あ、んんっ」
下着に引っかかった際の刺激なのか、聡司は甘い声を上げる。性器は完全に勃ち上がり、ローションが不要なほど蜜を垂らしていた。昴はチラリと横目でそれを確認すると、乳首を舌で転がしながら性器をゆるゆると扱き始める。
「う、あ、ああっ」
竿を扱き、指先で玉を刺激する。言わなくても足を広げて腰を揺らすその姿は同じ男とは思えないほど、昴の目には扇情的に映った。喘ぎ声も女のように高くはない。完全に高校生の男子のそれだというのに、どうしてこんなに淫靡に聞こえるのか。
昴は聡司の唇を自分のそれで塞ぎ、ゆっくりと舌を絡めた。のし掛かったシャツを着たままの胸が聡司の乳首を押しつぶす形になったせいなのか、彼の体がビクビクと反応する。性器に触れていた指を後ろに伸ばすと、聡司は無意識に腰を浮かせた。
唇を離すと、聡司がハァッと熱い息を漏らす。上からそれを見下ろしていると、視線に気付いて見上げてくる黒い双眸がたまらなく愛おしい。
「腕、背中に回せ」
命令すると聡司は素直に従った。好きでもないのに、躊躇なく昴にしがみつく姿勢をとる恋人に満足感を覚える。
「……ホント、カワイイよ、お前」
言いながら股間に滑らせた指を尻の穴に挿れた。ローション代わりの先走りが挿入をスムーズにしている。
「すぐ濡れるのも、すげぇイイ」
クチュクチュと音を立てながら浅い部分を擦ってやると、すぐに聡司はトロけた表情になり、性器から更に透明な汁をトクトクと漏らした。尻の穴まで滴るそれを中に塗り込める。中指は根元まですぐに入った。だからすぐに薬指を添わせてゆっくりと中へ入れてやる。
「すばる、くん、あ、あっ」
昴の背中に回した腕に力を入れ、聡司は喉を仰け反らせて喘ぐ。けれど足は広げたまま閉じない。こんな風に、嫌がっても受け入れるように聡司を躾けたのは昴だ。
「……聡司。俺にこうされるの、好き?」
「ん、んっ、す、すき……」
「気持ち良い?」
「きもち、い、……あ、も、もっと、して、してほしいっ……」
昴とのセックスを好きだと答えさせるのも、もっととおねだりさせることも全て自分が教え込んだ。拒絶させず、自分好みの返答を強要し、本当は嫌いなはずの自分を無理矢理受け入れさせた。
三本目の人差し指は強引に入れる。それでも聡司は快感を得て、喘ぐ。彼はこんなにも淫乱になってしまった自分の体をどう思っているのだろう。
昴は三本の指を奥深くまで入れると、中を広げるように指を開いた。そのまま腸壁を押し、弾力を楽しむ。背中に回った聡司の腕に力がこもり、短く切った爪が背中に触れる。
辛いはずなのに自分の体の下で逃げもせず、昴が与える快楽や苦痛に耐えているだけの存在が愛おしくて仕方がない。もっと傷付けて、それでも自分に従う姿が見たい。そして、それと同時に、抱きしめて快楽だけを与え、ひたすら可愛がってやりたいという欲も昴の中に芽生え始めていた。
「指でされんの、イイ?」
「……ん、いい、す、すき……」
「そっか」
昴は唐突に指を抜くと体を起こし、サイドチェストからローションを取り出して自分の陰茎に中身を垂らした。そしてそのまま大人しく横たわったままの聡司の体を一気に貫く。
「…………っ」
声もなく聡司は挿入しただけで射精した。精液が腹に飛び散り、ギュッと閉じた目から涙が溢れる。昴はそれを舌で掬い上げ、そのまま目尻や頬にキスを落とした。その間に固く抱きしめた聡司の奥をゆるゆると突いてやる。本当は本能に任せてガツガツと激しく打ち付けたかったが、最初はこうするほうが聡司は感じるようなので我慢する。実際、しばらくそうしていると、聡司の表情が柔らかく緩んでくるのだ。
小刻みに腰を動かしていると、額から落ちた汗が聡司の胸に落ちた。部屋に暖房を効かせていたが、運動をして暑くなったせいだ。
「温度、下げて良い?」
「……ん」
聞くと、聡司は快感のせいでボンヤリとしたままの視線を上げ、緩慢に頷いた。今の聡司ならば何を言っても肯定の返事しかしない気がする。従順な恋人の様子に、昴の胸は高鳴った。
「ハハ。分かってんのか? ホントに」
昴は一度聡司の尻から陰茎を抜き、立ち上がってローテーブルの上に置いていた空調のリモコンを手に取る。そして温度と湿度を適当に設定し、サイドチェストのうえにそれを置いた。再びベッドへと上がり、聡司の足を左右に開くと、彼は腕を伸ばして昴の背中へ自分からしがみつく。
「挿れてほしい?」
答えなど分かりきった問いを今回も繰り返す。聡司は恥ずかしそうに頷き、目を閉じた。こんな反応を引き出すまで、何度セックスしただろう。最初は痛がるだけで勃ちもしなかった。それから嫌がりながらも感じるようになって、今ではこうして逆らわずに体を開く。いずれは昴が言わずとも自分から、挿入して欲しいとねだるようになるまで昴は躾けたかった。
そんなことを思いながら聡司の尻に亀頭を当て、乳首を優しく撫でながら言ってやる。
「自分で言ってみな?」
「……す、昴くんの…お、ちんちん、こ、ここに入れて…ください……」
聡司は以前昴が教えた通り、閉じていた目を開き、自分の両膝の裏を手で押さえ、さらに足を広げてそう言った。腰が上がり、恥ずかしい穴が昴からよく見える。乳首への刺激からの快感だけでは羞恥を覆い隠せないのか、聡司の頬は赤く染まり、目線は昴の胸のあたりに留まっていた。目を見て言え、と、言い直させようかと思ったが、これはこれでいじらしい、と思い直す。
「一緒に気持ち良くなろうな?」
「あ、あっ、んんんっ」
今度はゆっくりと挿入した。下がった部屋の温度に比べて暖かい恋人の体温が心地いい。陰茎を優しく包まれ、そしてゆっくりと締め付けられる感覚がたまらなかった。
根本まで入れ、外側から腹を押すと、聡司の体はピクピクと痙攣する。前立腺が押されて気持ちがいいらしい。そのまま陰茎を抜き差ししてやると声を上げた。
「あ、ああっ、や、やめて、やめてっ、ああっ」
上からは指で押され、下からは陰茎でゴリゴリと前立腺を擦られるのは堪らないだろう。昴は制止の声を無視してゆっくりと腰を動かし続けた。ギリギリまで抜き、ゆっくりと奥まで挿入する。
「あ、あ、あっ」
奥まできっちり埋め込むと、亀頭を吸われる感覚がした。もう少し押し込めば結腸まで届いてしまうその場所が、望んで自分の陰茎を迎え入れようとしている、そんな風に昴は感じた。
腹を押さえたままその場所に亀頭を当ててやる。少し抜いて、少し挿入して、それを繰り返した。押し込むたびに聡司の陰茎は震え、ダラダラと精液を垂れ流す。勢いのないそれは垂れ落ちて、彼の薄い腹を汚していた。
「や、いやだ、ぁ……も、…こ、こんな、……」
熱い息を漏らしながら身を捩り、否定の言葉を呟いたから、昴は聡司に愛を問いかけてやる。
「俺とするの、好きだろ?」
すると目を閉じていた聡司はハッとしたように目を開き、目の前の恋人の顔を見つめた。先ほどまで快楽にとけていた名残はもう無い。
震える唇を開き、聡司は告げる。
「ん……す、好き。僕は……昴くんが、す、好き」
「よし♡」
意図とはずれた返答だったが、昴は笑顔を浮かべてやった。
セックスのたびに教えた言葉しか返さない恋人だが、今はそれで良いと昴は思っていた。少しずつ、少しずつ、聡司の心を侵食していけば良い。ここまで、たった八ヶ月しかかかっていない。この調子でセックスのたびに正解を教えていけば、高校を卒業する頃にはきっと、自分たちは理想通りの恋人になっていることだろう。
「俺もお前が好きだぜ?」
昴は笑顔のまま聡司の腰を掴み、激しい抽送を始めた。クリスマスイブの今日くらいは、聡司の好きな優しいセックスをしてやるつもりだったのに、と思う。
「う、あっ、あっ、あっ、あっ」
「あー、締まるっ」
奥をガンガン突いてやると、いつも通りキュウキュウと締め付けてくるのが気持ちいい。愛おしい恋人に対して、優しくしたいという気持ちも芽生えてきたけれど、まだまだ自分も我慢が効かないな、と昴は聡司を思い通りに犯しながら思った。