部屋に帰ったらストーカーが風呂掃除してたんだけど、普通に顔がタイプで、まずはお話から始めるやつ。
🕑 Added 2024-07-06 07:54:46 +0000 UTC
大学に通う為、最寄りのアパートを契約したものの、いつからか知らない女性にストーカーされていることに気づいた。
警察に相談するのは面倒だし、かと言って、また引っ越しすると財布が詰むので、腹を括って直接辞めて欲しいと伝えることに。
帰り道、いつものように後ろから一定の距離を保って付いてくるフードの女性を角で待ち伏せし、目の前に来た瞬間、「あの!いい加減、付け回すの辞めてくれませんか?!」と大声で言ったところ、「ぴゃ”っ”っ!」という可愛い声を上げて逃げていってしまった。
それから数日間は平和だったのだが、今度は部屋が勝手に掃除されていたり、冷蔵庫にパックの惣菜が置いてあったりと恐怖の不法侵入が始まってしまい、友達に事情を話して当分の間、泊めてもらうことにした。
数日後、流石にもう大丈夫だろ…と思い、
部屋に戻ったら、ストーカーが丁寧に風呂掃除をしていたんだけど、普通に顔がタイプで恐怖心が何処かへ行ってしまい、まずはお話から始めるやつ。
「えっと…何、してる…の?」
「……あ……っ………」
洗剤の泡を流すシャワーの音で自分が後ろに立っていたことに気づかなかったのか、可愛らしい顔立ちをした同い年くらいの女性がこちらに振り返って驚きの表情を浮かべている。
「お、お風呂のそうじ……」
少しの沈黙の後、彼女はそう呟いた。
一週間程、友人の家に泊まっていたので風呂はあまり汚れていないはずなのだが……
「えっと…アイス……買ってきたんだけど…食べる?」
「……………」コクッ
「じゃあ…その…待ってるから……」
彼女の小さく頷きを確認し、風呂場から出た。
手に持った袋の中には後で食べようと思って買ってきたアイスが丁度2つ。沈黙が始まる前に、会話を終了させることができてよかった。
そうしてテレビを見ながら待つこと数分。リビングの扉が開いて、Tシャツにハーフパンツという涼しげな格好で彼女はやってくる。
よく見ると華奢な身体ながら胸はそこそこあるし、顔が滅茶苦茶良い。どタイプ過ぎる。
「………え……じゃあ…はいこれ……」
「え、えと…い、いただきます……」
何故か隣に座ってきた女に、溶けて硬さが丁度良くなったカップアイスを手渡す。
彼女の手は物凄くすべすべさらさら、しかも動くたびにシャンプーの良い匂いが漂ってきて、外見が好みなのも相まって物凄く意識してしまう。
「それで…なんでウチにいるの?」
「あの…最近、お友達の家に泊まってたみたいなんですけど…部屋出るとき、扉の鍵が開けっぱだったので、その、泥棒とか、はいっちゃ駄目だよな〜って…だから…留守番…みたいな…?」
モジモジとして頬を赤らめながら恥ずかしそうに語るストーカー。
やっぱり俺が友達の家に泊まっていたのバレバレだったんだな…
「え、でも部屋の鍵持ってるよね?閉めてくれてたら、それで終わりじゃない?」
俺はストーカーに何を言っているんだ…と思いつつ問いかける。
「その…鍵…持ってなくて……💦」
「えと…なら、どうやって部屋入ったの?ピッキング?」
「実は…その……大家さんに、──さんの彼女なんですけど、鍵無くしちゃって…って言ったら開けてくれました……」
なるほど…。うちのアパートの大家さん、そこそこ高齢のお婆ちゃんだから、彼女って言われたら信じて簡単に扉開けそうな気がする…。
「あぁ…そうなんだ………」
「はい…そうなんです……それで、その…ちょっと相談なんですけど………」
「うん」
「私、大家さんには──さんの彼女だと思われてる訳ですし、良かったら…その、本当に付き合っちゃうとか……どうですか?」
衝撃の提案に耳を疑ってしまう。
正直付き合うのはこちらからも願ったりと言ったところなのだが、どれだけタイプといえど相手は不法侵入するような人間だし………
まぁ、いっか、可愛いし…嫌になったら別れたら良いだけだもんな。
「あっ、ご、ごめんなさい!私、変なこと言っちゃいましたよね!へへ…あの、まずは…友達から……」
こちらの様子を伺いながら、じわじわと手を握ろうと距離を詰めてくるので、逆にこちらの方から手を取ってやる。
「うん…じゃあ付き合おうか」
「ふぇっ?!」
この前とはまた違った可愛い声を上げるストーカー。
おどおどしていた手前、流石に付き合ってくれるとは思っていなかったのか、今日一番の驚きの表情を浮かべている。
「え、なっ、なんでですか?!」
「だって、付き合おうって…」
「いや!そうじゃなくて!そうなんですけど!そのっ、ほら!私、ストーカーじゃないですか!」
「言っちゃうんだね」
「うぅぅっっ…!!! それに!勝手に彼女とか名乗っちゃう痛いやつですし!あ、あと、洗濯物から何枚か拝借して新品と入れ替えちゃうような女ですよ?!ほんとに付き合って良いんですか?!」
焦って余罪も吐いてくれたストーカー。こういう人間らしいところを見ていると、ますます可愛さが増してくる。
「だから良いよって」
「うぅっ…///そ、それじゃあ、これからよろしくお願いします…今日はごちそう作ります…」
「あぁ、はい…よろしくお願いします…」
急にしおらしくなったストーカーと熱い握手を交わし、付き合うことになった。
色々話してみるとストーカーは趣味も合い、後日、彼女の家に遊びに行くことになった。