皮に包まれメイド喫茶で働くことになった少年の話 9【最終回】
🕑 Added 2021-10-03 14:09:39 +0000 UTC
「心配しなくっても、皮を着た後にはちゃんと思い出せるようになりますよ。」
皮を押し付けられ、続けて店長が見せてきたのは抜き取られた俺の一部……の様に見える。
「これって……本当にさっき私から抜き取ったものですかぁ?」
なんだろう。さっき見た時とは少し違っているような気がする。ちらっと見ただけだったけど、アレは人そのものをそのまま縮小したかのような精巧さだったはずだ。
けど今見せられているのは全体的に作りが雑で、何というか明らかに作り物って感じがしている。。
「いいえ、これはアナタから抜き取ったものの複製です。言ってしまえば合鍵の様なものですね。だって本来のアナタを返してしまったら逃げられてしまうかも知れないじゃないですか。それを防止するため、お給料分を働いて貰うまではこちらの複製を浸かって貰うことになるんです。」
「逃げたりなんてしませんよぉ。」
「ええ、そうかも知れませんね。でも今はそう思っていてもこれから先もずっとそう思い続けてるとは限らない。それに契約は契約です。どうします? そのままの格好で行く当てもなく出て行くか、皮を重ね着して複製を受け取って自宅へと帰るか。」
そんな2択を突きつけられたら取れる選択肢は1つしかない。
「皮を、着ます。」
「ええ。ちゃんとそっちを選んでくれると信じてましたよ。」
信じるもなにも、それ以外にやりようが無い所に追い詰めたんじゃないか。
この皮を重ねて着なくちゃならないのか。……あれ? この皮、今着ているのとはちょっと違くないか?
今着ている皮はほぼ完全に人間……胸が大きすぎたりはするけれどそれ以外は完全に人間に見えていた。けれど所々の再現度が低い様に感じる。胸には乳首が無いし、股間にも何も付いていない。着てから補正をかけたりして変わるのかな。
「それじゃあ更衣室に……」
「いえ、ここでいいですよ。そのまま着ちゃってください。」
え? あ、いや。確かにここでメイド服を脱いだって皮を着た姿になるだけだから俺の裸を見られるわけじゃないけどさ……
「ふぇ!? なんで!?」
また身体が勝手に動いてる。それはまだいい。けど、なんでメイド服を脱いでないのにそのまま皮を着ようとしてんだ!?
「脱ぎますぅ。ちゃんと自分で脱ぎますから身体を止めて下さいよぉ。」
「何を言ってるんです? 次に来た時にまたメイド服を着るところから始めたら準備に時間がかかってしまうじゃないですか。ですからメイド服の上から皮を着て貰うことになってるんですよ。さっきも言ったでしょう? 重ね着をして貰うって。」
うそ……だろ!?
何とか抵抗しようとしたものの、これまでだって皮の動きを止められたことなんて一度もなかった。当然の様な動きで皮の背中に開いた隙間に足を通していく。
「んんっ、きっつぅい。」
今着ているのは本来の俺よりも背が高い皮だ。だから着る時にもかなり余裕があった。けど今は身長はずっと高いし、おっぱいやお尻も凄く大きい。それに対してこれから着ようとしている皮はずっと小さい。伸縮性もあまりないみたいで、かなり無理をしないと足を通すことすらままならない。
これまでも全身を皮に覆われている感触が有った。けど今は小さな皮に身体を押し込んでいるせいで更に締め付けられてしまっている。
「……あれぇ?」
おかしい。今は両足を皮の中に押し込んだところだ。ってことは当然スカートはめくれあがっているはず。それなのに太ももは纏わりつくスカートを感じている。それどころか身体の動きに合わせてスカートが揺れている気すらする。
さっきまでのスカートの感覚がまだ足に残ってるってことなのか? 目で見ても、間違いなく下半身は皮に覆われて……
「えぇっ!? 何で股間が……」
この皮は俺の姿に似せてあるって言っていた。ってことは当然男の姿をしているはずだ。それなのに、股間にはあるべきはずのものが存在していなかった。
「そう言えば、言ってありませんでしたね。その皮はあくまであなたの姿に似せているだけ。性別は女の子になってます。」
「えっ、なんでそんな……」
明日からこの皮を着たままで過ごさなきゃならないんだろ?
「これには理由がありましてね。簡単に言ってしまえば女性用の皮しか作れないんですよ。ですから本来の姿に似た女性として過ごして貰うことになるわけです。あ、これもちゃんと契約書にありますよ?」
くっ。何でもかんでも契約書か。
「とは言えそれほど問題はありませんよね? 胸は真っ平らにしてありますから外から見て違いは分かりません。股間の男の子は有りませんけど、普通の生活をしていて人に見せることなんてあります?」
「それはぁ、ありませんけどぉ……あ。でもでもぉ、これじゃおトイレだって困っちゃいますよぉ。」
流石にチンコが無い股間で男子トイレを使うのは無理だ。と思う。
「そうですか? 男子トイレにだって個室はありますよね? そちらを使えば問題ないんじゃありませんか?」
「う……それは、そうかも知れないけどぉ……」
流石にこの歳になって個室に入ったからって騒ぎ立てたりバカにするような奴はいない。と思う。
けど、トイレに行くたびに必ず個室に入るんじゃおかしいと思われるかも知れないじゃないか。
「んぷっ!?」
急に顔が包まれる。話をしている間にも身体は勝手に皮を着続けていたらしい。
全身が皮に包まれたものの、やっぱり無理がある。全身のボリュームが増したこの身体じゃ皮に納まりきるわけがない。全身を締め付けられているとはいえ、おっぱいやお尻はサイズアップしてるのが丸わかりだ。
ギリギチに引き伸ばされた皮はかなり無理がかかっていて、関節を曲げ伸ばしするのにも苦労してしまう。
「着れたようですね。それじゃまた補正をしましょうか。」
「補正ぃ?」
そう言えばこの皮を着た時も補正を掛けたよな。ダブついてた皮の中身が満たされたけど、結局どういう仕組みだったのかは分かっていない。ただ分かっているのは俺の身体が引き伸ばされたみたいに、皮の見た目と俺の感覚が一致したってことだけだ。
じゃあこの皮に対して補正を掛けたら?
「ひゃんっ!!」
背中を撫でられ、開いていた口が閉じる。これはさっき皮を着た時と同じだ。その時は俺の一部を抜き取られてしまったわけだけど……
「はい、入れますよ。暴れたりしないで下さいね。」
「んっ……ひゃううぅぅぅ!!」
首筋に押し付けられた何かが身体の中に入り込んでくる。本当だったらこんな所に何かが入るハズなんて無いのに。
「あっ……あっ、あっ……」
全身を包む締め付けが強くなってくる。お尻や太ももが締め付けられて細く締まる。おっぱいが押し潰されて胸板が平らに変わる。手足が短く寸詰まりにされ身長が下がっていく。
ただ足に纏わりつくスカートの感触は今も変わらずに残っている。いや、それだけじゃない。メイド服を着ている感触自体が身体に残っている。お尻の穴とおしっこの穴に詰まったビーズの感触も、身体の動きに合わせてそれが揺れる感触も消えずに残ってしまっている。
「あ……あ、そうだ。」
どうやっても思い出せなかった俺の名前が浮かんでくる。家族や友達も、住んでいた家も、そこまでどうやって行けばいいのかも。なんで思い出せなかったんだろうと不思議になるくらい、簡単に思い出すことが出来た。
「はい。補正はこれで完了ですけど、注意点がありますので気を付けて下さいね。」
「注意点、って何ですか?」
口から出る言葉も間延びした口調じゃない。思った通りに喋ることが出来た。
「さっきも言った通り、今アナタの身体に入っているのは“アナタの一部を複製したもの”です。本来の物と違い、強度はそこまで強くありません。粗雑な扱いをすると身体の中で壊れてしまい抜けなくなる、なんてことも考えられます。」
「抜けないと……どうなるんですか?」
「そりゃあもう、今着て貰っているその皮が脱げなくなるってことですね。そうなるとミルクちゃんの皮はもう使えなくなりますから、買い取って頂くことになります。あ、アルバイトの時には別の皮を上から着て貰えばいいわけで、働けなくなるってことはありませんよ。」
皮が脱げなくなる!? そんなの冗談じゃない。
そう言えば、今も右のおっぱいだけ圧力が高くって絞り出したいままだ。でもこの皮を着たままでも搾れるのか? まさか次のアルバイトの時までこのまま?
「あ、そうそう。もう1つ気を付けて欲しいんですけどね。」
「え? あ、なんでしょう。」
「さっきまではお尻とおしっこの穴にビーズが詰まっていたので、出そうとして力を入れても出ませんでしたよね。ですが今着ている皮はそれらの穴はフリーになってます。それがどういうことか、分かります?」
えっと、どういうことだ? そう言えばさっきまではおしっこを我慢しようなんて思ってなかったよな。でも尿意はしっかりとあって……
「あっ!?」
おしっこが……漏れてる?
「気が付いたみたいですね。服を着た後で構いませんので、汚した床は掃除して貰えます?」
「……はい。」
力を入れればおしっこが流れ出すのは止められた。けど今もビーズでおしっこの穴が押し広げられてる感覚が残っている。それに、漏らしたって言うのに尿意は全く減ってない。便意もあるけど、ひょっとして身体の中に溜まったのを出しても、ビーズのせいでこの尿意は便意は残りつづけるのか?
「では、更衣室へどうぞ。服を着て貰い、ここを掃除したら今日はお帰り下さい。」
「え、ここから更衣室まで……裸で……」
「問題ないでしょう? その姿、見た目はアナタの裸に近いですが皮なんですから。」
逆に言えば皮だけれど俺の裸に見えるってことなんだけど……でも言ってもどうしようもないのか。くっ。
「分かりました。」
この格好、この感覚のままで……明日から生活しなくちゃならないのか……